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拘りと親しみと…

日曜日に以前勤めていた事務所でお世話になった、工務店の現場監督さんを偲ぶ会に参列しました。
私が住宅の設計を実践で学び始めたばかりで右も左も分からない時に、これまた初めて担当したコンクリート造の現場監督の長をしてくださいました。
同郷と言うことも有り、とても親身にそして丁寧に現場のことを教えてくださいました。
思えばこの現場、RC3階建て、延べ面積にして150㎡ほどの住宅でしたが、
なんと3人(+新人さん1人の合計4人)もの現場監督さんに付いて頂きました。
これも先生がとても細やかな設計をされる為の工務店側からの配慮だったと思われます。
事務所退職後も何度か施工や見積もりのことについて相談にのって頂き、その度に
「いつかおめさん(方言でお前さん・あなた)の設計した現場を私に監督させてくださいて」と
励ましてくださいました。
叶わぬ夢となってしまいましたが、あの時の監督さん達に監理して頂ける様な仕事をいつかお願いしたいと、またひとつ目標が出来ました。

この会でたまたまお隣に座られたご婦人が先生の同級生と言うことでいろいろお話しさせて頂いたのですが、ご自宅がなんと 『 吉田五十八氏 』 の設計された家とのこと、ビックリ。
しかし棲むにはそれなりに大変らしい…。
「照明はオリジナルデザイン(それはそうでしょう)の物や当時では珍しいヨーロッパのシャンデリアなので電気のメンテナンスが普通の電気屋さんでは無理。」や、
「広いしガラスが大きいからスースーして部屋を暖めるのが大変。」なのだそうである。
その後お母様の家をご自宅と同じ某ゼネコンに建ててもらったそうなのですが、ゼネコンのプレハブ住宅で、「これが小さくて部屋もすぐ暖まり快適なの。」だとか…。
偉大な建築は棲まう人の努力によって保たれるものなのである、とつくづく感じたのでした。
ご近所にこの様な大邸宅が多くあったそうですが、相続でかなり減ってしまったそうです。
周りからの勝手なお願いとして、是非これからも残して頂きたいとご一緒した他の建築家の方とお伝えしてお別れしました。
どうせなら「拝見させてください!」と言ってみればよかったと後になって思ったのでした。

いろんな意味で建築とは? そして建築家とは? とあらためて考えた一日でした。
by studio-tsumugi | 2005-02-01 23:10 | お仕事中